【コラム】冬のスターウォッチング
【コラム】冬のスターウォッチング
冬のダイヤモンドを見つけよう
オリオン座が、宵空に南中する2月は、寂しい秋と春の星座に囲まれた冬の星座たちが、ここだけは特別と言わんばかりに、一段と華やいでいるときです。夜空には明るい星暗い星、色とりどりの星でいっぱい。
オリオン座の赤いベテルギウスと白いリゲルだけでも十分に目立つのに、おうし座の赤い目アルデバラン、クリーム色のぎょしゃ座のカペラ、金色に輝くふたご座のポルックス、白く光るこいぬ座のプロキオン、全天一の明るさを誇るおおいぬ座のシリウス、さらに南の地平線スレスレのりゅうこつ座のカノープスと、全天に21個ある1等星のうちの8個が冬の星座の中で輝いています。しかもそれらがシンチレレーションの影響でいつにも増してダイヤモンドのようにキラキラまたたくのだから、それはもう絢爛豪華以外の何者でもありません。8個の1等星のうち、ベテルギウス-プロキオン-シリウスを結んでできる正三角形を“冬の大三角”、プロキオン-シリウス-リゲル-アルデバラン-カペラ-ポルックスを結んでできる大きな六角形を“冬のダイヤモンド”と呼んでいます。
恋人アルテミスの兄アポロンの企みで殺されてしまった猟師オリオンを描いた星座。右上がりに一列にならぶ3つの2等星、それをはさむ2つの1等星、赤いベテルギウスと白いリゲルを持つオリオン座は、世界中のだれもが知っている星座のスーパーヒーローです。
王女エウローペをさらうために、大神ゼウスが変身した白い雄牛を描いた星座。目印は、赤く輝く1等星アルデバランを中心にV字形に並んだヒヤデス星団と、おうしのせなかのほくろのように見えるプレアデス星団です。プレアデスは、日本ではすばるの名で有名です。
四頭だての戦車に乗った、足が不自由なアテネのエリクトニオス王の姿を描いた星座。御者とは運転手のことです。木枯しが吹き始める12月初旬の宵、クリーム色の1等星カペラが北東の空に昇ります。ぎょしゃ座は、カペラを中心とする大きな五角形の星座です。
どんな獲物でも絶対に捕まえるという猟犬レラプスの姿を描いた星座。鼻先で-1.5等の強烈な光を放つシリウスは、焼き焦がすものという意味を持っています。全天で最も明るい恒星です。古代エジプトではナイル川の洪水を教えてくれる星として大切にされました。
大神ゼウスとスパルタ王妃レダの間に生まれた双子の兄弟、カストルとポルックスを描いた星座。オリオン座が西に傾くころ、天頂に並んで輝く二つの星のうち暗いほうが兄のカストル。明るいほうが弟のポルックスです。日本ではひな祭り星とも呼ばれています。
冬の大三角の東角で輝く1等星プロキオンと3等星とでできるかわいい星座、こいぬ座。古代エジプトでは、プロキオンはナイル川の洪水を教えてくれるシリウスよりも、ほんの少し前に昇る星として大切にしていました。プロキオンとは「犬の前」という意味です。
昔アルゴ座という船の星座がありましたが、大き過ぎるために4つの星座に分割されてしまいました。そのひとつがりゅうこつ座です。日本からは一部分しか見えませんが、シリウスに次いで明るいカノープスが、東北南部から南の地方で、南の地平線スレスレに見ることができます。